前回の「兄犬・マグとの出会い」の最後に、こんなことを書きました。
兄犬・マグには、大の苦手なことがあります。それは……お留守番です。
今回は、その「お留守番事情」について、じっくり書いてみたいと思います。
同じようにお留守番が苦手なワンちゃんを飼っていらっしゃる方、あるいは「これって分離不安?」と悩んでいらっしゃる方に、少しでも参考になれば嬉しいです。あくまで我が家の体験談ですので、その点はご了承ください。
最初は「甘えん坊な子なのかな」くらいに思っていた
兄犬・マグが我が家に来てしばらくした頃のことです。
気がつくと、私がどこへ行くにもついてくるようになりました。部屋を移動するとついてくる。トイレに立つとついてくる。ちょっとその辺をうろうろするだけでも、ぴったり後ろをついて歩いてくる。
最初は「甘えん坊な子なんだなぁ、可愛いなぁ」と思っていました。
ところが、私の姿が見えなくなった途端に吠えるようになってきたのです。
「あれ、これはちょっと普通の甘えん坊とは違うかもしれない」
そう感じ始めたのは、そのあたりからでした。
お留守番、まったくできない
実際にお留守番をさせてみると、案の定でした。
帰宅すると、玄関を開けた瞬間からただならぬ雰囲気が漂っていて——。
心配になって監視カメラの映像を確認してみると、衝撃の光景が広がっていました。
兄犬・マグは、出かけてからずっと吠え続けていたのです。
ケージに布をかぶせて落ち着かせようとしても、それをわざわざ剥がして、また吠える。そのうちケージの中で排泄をしてしまって、さらにはそれを踏んでしまっていたり……。
そして極め付きは、ケージの中でずっと二足立ちをして足踏みをし続けている姿でした。
第2回の記事でも少し触れた「嬉しいときの独特の動き」——あれが、極度のストレス状態でも出てしまっていたのです。嬉しいときの動きと同じ動作が、不安やパニックのサインになっていたというのは、見ていてとても胸が痛かったです。
試しに、家にいる状態でお留守番の練習をしてみました。私が別の部屋に行って姿を消すだけで、即座に吠える。
これは完全に、分離不安の典型的な状態だと分かりました。
このままではお互いにストレス
正直なところ、最初は「もう少し様子を見れば慣れるかな」と思っていました。
でも、監視カメラの映像の中の兄犬・マグを見ていて、これはそういう話ではないと感じました。
吠え続けているマグがかわいそうだということはもちろん、近隣への影響も心配でした。何より、これはマグ自身にとって相当なストレスのはずです。毎日お留守番のたびにあの状態では、心身ともに良くない。
このままではお互いにつらい。
そう判断して、専門家の力を借りることにしました。
警察犬訓練所でのトレーニング
選んだのは、預かりトレーニングを行っている警察犬訓練所でした。
預かりメインでお願いして、その合間にトレーニングもしてもらう、という形です。
最初に取り組んでもらったのは、クレートに慣れることでした。
クレートを「閉じ込められる場所」ではなく「安心できる自分だけの場所」として認識させること。クレートから出たタイミングで排泄をする流れを作ること。まずはそこから、丁寧に積み上げてもらいました。
合間には「待て」や「伏せ」といった基本的なコマンドの練習もしてもらいました。
約1年、着実に変わっていったマグ
正直、最初は「本当に改善するのだろうか」と半信半疑な部分もありました。
でも、さすがは専門家。そして——兄犬・マグはとても賢い子でした。
練習を重ねるごとに、少しずつ少しずつ変わっていきました。コマンドもどんどん身についていき、クレートの中で落ち着いて過ごせる時間が増えていきました。
約1年ほどかけて、ようやく「少しのお留守番ができる」ようになったのです。
あのずっと吠え続けていた映像を思い出すと、本当に長い道のりでしたが、諦めずに続けてよかったと心から思います。
マグが学んだこと、そして学んでしまったこと
ここでひとつ、笑える(?)話を。
お留守番の練習を重ねるうちに、兄犬・マグはいろいろなことを学んでいきました。
そしてなんと、「平日はお留守番がある」「休日はお留守番がない」ということも、しっかり学んで覚えてしまったのです。
平日の朝、私が出かける雰囲気を察すると、観念したように(?)静かにしているマグ。
ところが休日の朝、「今日は出かけないぞ」という空気を感じた途端、弟犬のペニーと一緒に大はしゃぎ——。
「この子、ちゃんと曜日の概念があるのか……」
と、驚きと笑いが混ざったような気持ちになりました。休日のお留守番は今も苦手なまま、そこは現在進行形で継続中です(笑)。
ペニーを迎えて、もうひとつ変わったこと
もうひとつ、お留守番問題に関して大きかったのが、弟犬・ペニーの存在です。
分離不安の原因のひとつは、「ひとりぼっちになること」への恐怖です。
ペニーが来てからは、お留守番中に「ひとりではない」という状況が生まれました。
ずっと吠え続けることもなくなり、以前に比べてずっと落ち着いてお留守番できるようになりました。
ペニーを迎えたのは、ドッグショーやアジリティーへの挑戦という目的もあったのですが、結果として兄犬・マグのお留守番問題にも、ペニーの存在が良い影響を与えてくれました。「ペニーを迎えて本当によかった」と思う理由のひとつです。
振り返って思うこと
分離不安は、放っておいても自然に治るものではありません。個人的には、早めに専門家に相談して本当によかったと感じています。
もし今、同じようなことで悩んでいらっしゃる方がいれば、一度プロのトレーナーさんに相談してみることをおすすめします。もちろん、どんな方法が合うかは犬それぞれ・家庭それぞれですので、あくまでひとつの体験談として参考にしていただければと思います。
今では、平日のお留守番はすっかりこなせるようになった兄犬・マグ。
毎日帰宅すると、あの日二足立ちでお迎えしてくれたときのように、嬉しそうに出迎えてくれます。
その顔を見るたびに、「あの1年間、頑張ってくれてありがとう」という気持ちになります。
おわりに
今回は、兄犬・マグのお留守番事情について書かせていただきました。
思い返してみると、本当にいろいろありましたが、それも含めて今となっては大切な思い出です。一筋縄ではいかない子だからこそ、余計に愛着が深くなったようにも思います。
次回は、弟犬・ペニーとの出会いについて書こうと思っています。兄犬・マグとはまた全然違う、賑やかなご縁の物語でした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。


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